看護師からみた、在宅看護の衣食住の『衣』
はじめまして、あしやプラスクリニックの看護師です。
この場を借りて皆様へのご挨拶をさせていただきたいと思います。
ご挨拶
クリニックがオープンして早2ヶ月が経ちました。
外来診察の補助に加え、訪問診療においても看護師として院長に同行させて頂いております。
新規開業のクリニックということもあり、どの患者様、ご家族様ともにはじめましての方ばかりですが
皆様に良くしていただきありがたく思うとともに、少しでも地域の皆様のお役に立てればと思う日々でございます。
さて、私たちの訪問診療はあくまで「限られた回数」と「時間」の中での患者様のケアとなりますが、当然のことながらご家族様にとっては毎日の継続したケアとなります。
これまでの生活がありながら、時には家族間での関係性も変化したりと各ご家庭や環境の変化等の背景もあり、在宅ケアの難しさを感じられているご家族様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回のブログでは、病棟看護師、また訪問看護師として勤務していた経験も踏まえ、ほんの少しでも日常のケアにおいてお役に立てるようなお話を皆様にお伝えすることでご家族様のお力になれたらと思います。
まずはじめに、生活の基礎となる『衣食住』をテーマに選び、順にお話ししていきます。第1回目の本日は『衣』についてです。
衣類選びと更衣のポイント
衣類選び
元気な時は出かける場所や季節、天気によって自身で洋服選びを楽しむことができます。
しかし、高齢になるにつれ温度変化に対する感覚や体温調節機能が低下します。そのため、夏の暑さに気づかず室内でも厚着をしてしまったり、冬には薄着で過ごしてしまうことがあります。
着込みすぎると体温調節が難しくなり、洋服の重みや締め付けにより血流が悪くなることで寒さへの対応力が落ちることもあります。ご自宅でのケアの際は、ご本人の意向も尊重しつつ、適切な服選びを相談してみてください。
更衣のポイント
元気な時は当たり前にできる着脱も、体力の低下や疾患により四肢の可動域が制限されることがあります。そんな方の更衣を介助する際の注意点をいくつかお伝えします。
1. 左右どちらかに動かしにくい腕や足がある場合
- 脱衣時:先に健側(なんともない方)から袖や裾を通します。
- 着衣時:先に患側(動かしにくい方)から袖や裾を通します。
こうすることで、患側への負担を減らしながら更衣を行うことができます。患側の着脱の際は迎え袖で介助者の手で患側を支えてあげてください。
2. 衣類選び
着脱しやすい衣類選びも重要です。例えば、下着は前開きのものを選ぶ、ズボンはストレッチ素材やゴムのウエストのものを選ぶといった工夫が有効です。伸縮性や布の柔らかさも重要なポイントです。
3. 寝たきりの方の更衣
更衣が終わった後は、背中に衣類のシワができていないか確認してください。シワがある状態で長時間臥床すると褥瘡(床ずれ)の原因となることがあります。
衣類の選び方と更衣の工夫で快適な生活を
日々の生活の中で、衣類の選び方や更衣の方法に少し工夫を加えるだけで、患者様の快適さや健康状態に大きな影響を与えることができます。
季節ごとの衣類の選び方
季節ごとの気温に応じた適切な衣類選びが重要です。例えば、夏は通気性の良い素材で作られた衣類を選び、湿度が高くなる日本の夏にも対応できるようにします。冬は保温性が高い素材を選び、重ね着を工夫して体温を維持することがポイントです。
衣類の素材と機能性
高齢者や介護が必要な方には、衣類の素材や機能性も重要です。吸湿速乾性のある素材や、肌触りの良い柔らかい素材を選ぶことで、快適さを保ちます。また、前開きのシャツやストレッチ性のあるズボンなど、着脱しやすいデザインの衣類を選ぶことで、更衣がスムーズになります。
まとめ
訪問診療や在宅ケアにおいて、日々の生活を快適に過ごすためには、衣類選びや更衣の工夫が重要です。
患者様とご家族が安心して過ごせるように、引き続き、日常のケアに役立つ情報と適切なケアを提供していきたいと思います。
あしやプラスクリニックでは、皆さまに親しみやすく、安心してご利用いただける環境を提供することを目指しています。お身体のことでお困りの際やお悩みをお持ちの際は、どんな些細な事でも問題ございませんので、どうぞお気軽にご相談ください。